A,慢性痛の場合、局所の痛みを取ることは、それほど難しいことではありません。
ただ、痛みに限らず慢性症状とは、根が深いものです。身体のバランスが崩れた時
に最も負担がかかる所や弱点に症状が現れるわけですから、全身を調整する必要
があります。そのために施術前後の検査が重要であり、施術方法の選択や予後を
判定します。
A,症状によって技法もありますが、正確にいえば身体の状態によります。バランスの
変調です。バランスといっても外見上のものだけではありません。その時の体調や
体力といった内的なものも含めた総体的なバランスです。これを調えていくのが気
の療法です。
A,東洋古来の考えでは、「気、通じざれば痛み。気、通じれば痛まず。」としています。
ほとんどの痛みは、気の不足によるもので、これを気虚症と言います。
気とはエネルギー、力です。人間の生命力・体力・自然治癒力などの力が気です。
気は血を動かすといいます。つまり体力(気)が低下すると血行が悪くなります。
血流不足(血行不良)を起こします。これが血虚症です。
こうなると、筋肉が酸素不足になり痛みが出てきます。
ここで、血行を促進させれば一応痛みはおさまりますが、これだけでは不十分です。
なぜなら、血虚症になる過程に気虚症があるからです。気虚症を改善しないことには、
すぐにまた血虚症となり痛みが出てきます。元を正すことが大切です。
気虚症を改善すれば血虚症も改善されるので施術効果が高まります。
A,ケガなどの外傷性のものは別として、慢性痛のほとんどは気の不足と言えます。
ただ問題は、どうして気の不足が発生したかということです。
発生原因は生活環境が大きく関係します。
日常のストレスや過労による筋肉疲労とか体軸の異常など様々あります。
それらの解決策があればいいのですが、実際にはそう簡単にいきません。
生活上の問題、たとえば仕事などがあります。
A,体軸の異常とは重心のズレです。身体の重心が正常な位置から移動してバランス
が崩れ、体がグラついた状態をいい、重心移動だけでなく体軸が捻じれていることも
あります。
筋肉異常を放置すると体軸つまり重心がズレます。ですから、全身の筋肉異常を改
善することで普通は重心も整います。
A、筋肉異常を改善しても何らかの原因、特に体重を支える足底に異常があると重心が
ズレたままということもあり、この場合、一度取れたはずの痛みが戻りやすくなります。
そこで、足底を修正して重心を安定させることが必要になってきます。
A,たとえば、猫背は前傾姿勢ですが、普通の人でも前傾姿勢をとると自然に肩が前に
出ます。肩が前にいけば胸が狭まりますから呼吸が浅くなりますし、さらにこの姿勢
は胃を圧迫する形ですから良くありません。これにより、もし内臓機能が低下すれば、
血行不良や冷え性など様々な症状を併発することも考えられます。
これは、前傾に限らず後傾でも側傾でも左右に捻じれた場合でも同様に身体に悪い
影響を及ぼします。
A,人それぞれの外部環境つまり生活環境そのものがストレッサーで、ストレスの原因です。
従ってストレスがまったくないという人はいません。
また適度なストレスは、やる気を起こさせるなど生活する上でも重要です。
しかし、それが重荷になった時、過重なストレスになると心身に悪影響が及びます。
心は衰弱し、身体は緊張しきって強張り、ガチガチに硬くなります。
こうした過度なストレス状態が長く続いたり、突然の出来事で大きなショックを受け
たりすると、トラウマ(心の傷)になることもあります。これらは気虚症です。
気療には心をリラックスさせる技法もあり、心身がリラックスします。
A,これは、解釈の問題だと思います。当院では外気功と内気功をセットにした気療を
施していますが、痛みなどの症状を改善するだけではなく、呼吸を調える作用があ
り心身がリラックスします。
これにより、仕事や勉強の能率が上がり、活動範囲も広がることが考えられます。
さらに、呼吸が調うことで新陳代謝の作用も活発になれば、肌に潤いが出ることも考え
られます。これらのことを若返りと表現することが出来るかも知れません。
しかし、だからといって、例えば50歳代の方が20歳代になることはありえません。
A,基本的には老若男女を問わず、どなたでも大丈夫です。しかし、3歳未満の乳幼児
はお断りしています。3歳未満の乳幼児には小児鍼で施療しています。
鍼灸療法
Q,なぜ、肩や腰の症状に対して手や足にも刺すのですか。
A,理由は2つあります。1つは全身を調整することで、自然治癒力を効果的に働かせ
ようとするためです。もう1つは経絡(ツボとツボを結ぶ機能的ルート)の考えに基づき、
手足のツボを介して刺激を伝えようとするためです。
局所(肩や腰)に刺して症状が改善されればいいのですが、ダメな場合に何度も局
所を刺すと過剰な刺激となって、かえって症状が悪くなることがあります。それを防ぐ
意味もあります。
Q,鍼を刺された時、痛いこともありますか。
A,痛みの感じ方に2通りあります。1つは鍼が皮膚を通過するとき、もう1つは筋肉に
深く刺したときです。
皮膚を通過する際の痛みは技術の問題です。ただ、まれに毛根の神経に触れて痛
みを感じることもあります。この場合、いずれも鋭痛を感じます。
次に筋肉に深く刺した場合ですが、ズーンという鈍痛を感じます。これを「鍼の響き」
といって施術者は痛みとしませんが、患者様は痛みとして捉えます。筋肉が緊張して
硬くなっている所に刺すと響きやすいため、悪い所は響きやすいと言われています。
また、局所以外の所にビーンと響きが伝達することもあります。
問題は、響きと施術効果の関係ですが、これには意見が分かれています。中国では
響きのことを得気といい重視しています。響いた方が効いているようにも思いますが、
響きと施術効果は関係ないという意見もあります。
Q,鍼をした後、安静が必要ですか。
A,理想をいえばその通りです。しかし、よほど虚弱な人でなければ必要ありません。
ただ、施術後1時間程度は激しい運動などは控えたほうがいいでしょう。
Q,鍼をした後、入浴してもいいですか。
A,施術した直後は身体に負担がかかるので控えてください。1~2時間程度は時間を
あけてから入浴することをお勧めします。
Q,お酒を飲んでもいいですか。
A,施術前の飲酒はダメです。アルコールで血行がよくなっているのに鍼をすると、さら
に血行が促進されて危険です。
施術後の飲酒は問題ありません。鍼をすると内臓の働きがよくなり、アルコールの
分解作用も強まると言われています。しかし、それは適量の場合であって飲みすぎ
は禁物です。
Q,風邪気味でも鍼をして大丈夫ですか。
A,熱症状がある場合、とくに38度C以上の高熱がある場合は控えてください。
それ以外の風邪症状なら大丈夫です。
Q,スポーツをする前と後ではどちらがいいですか。
A,理想をいえば前も後もということになります。しかし、どちらか一方と言われるならば、
施術する立場からいえば前です。理由はケガの防止です。体調を調え、筋肉の緊張
をほぐすことでケガの予防に役立てたいからです。ただ、疲労回復を目的とされるな
らば当然のことながらスポーツ後となります。
Q,副作用はありますか。
A,鍼灸に限らず、すべての療術に言えることですが、刺激量が多すぎた場合、かえって
症状が悪化することがあります。それ以外は大丈夫です。
どんな療術でも適量刺激が大切です。